2014年12月24日水曜日

友達



我が部屋に友人が住んでおります。
友と云えども人間ではありません。猫でもありません。
猫は私の妹、娘、息子であって友達の立場にはありません。
では誰かと申しますと、それは1匹の蜘蛛であります。
今まさに私の後ろの壁でお寛ぎをして頂いていますのがその彼です。

彼と出会ったのは2年ほど前でしょうか。
突然私の部屋に住み着くようになりました。
蜘蛛の寿命は最長3年と言われていますので同じ蜘蛛なのは間違いありません。

未だに彼の名前は知りません。
一応私の名は伝えたことがあるのですが
彼は依然として名前を呼んだことはありません。
蜘蛛には名前という概念が無いのかもしれません。
勝手に名前をつけるのは失礼にあたりますので迷った挙句にやめました。
名前が無いということも案外悪くはないように思えてきます。

彼と一緒にいて一番気をつけることは、掃除機をかけるときです。
なにせとても小さく繊細な身体をしておりますので
大きく凶暴な掃除機でその身体を吸ってしまわないように細心の注意をはらいます。
彼も私の心遣いを理解してくれているのか、掃除の際にはどこかに身を隠してくれています。
掃除が終わってから数時間後に何もなかったかのように現れたときには
「掃除は終わりましたよ。どうぞお寛ぎくださいませ」と話しかけます。
すると彼は気紛れにちょっとした蜘蛛的日常話をしてくれるのです。
大概は毎日の食事事情ですが1分もしないうちに話すのをやめてしまいます。
そしてゆったりと前足を動かしながら空を見つめます。

2年の月日が経過しても我々の関係は猶の事揺るぐことがありません。
私は彼にいつまでもここにいてもらいたいと思っています。
でも無理強いはしません。その事についても伝えることはないでしょう。
私は彼の気紛れさが好きなのですから。
全ては彼の気の赴くままに。

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